「ChatGPTで作った画像を、ブログや広告、商品に使ってもいいのかな?」
「生成した画像の著作権って、どうなるんだろう?」
「他の人の権利を侵害しないか心配…」
ChatGPTで手軽に魅力的な画像が作れるようになり、ビジネスでの活用を考える方も増えています。しかし、その一方で「商用利用は可能なのか?」「著作権はどうなっているのか?」といった権利に関する疑問や不安もつきまといます。
この記事では、ChatGPTで生成した画像の商用利用の可否、著作権の考え方、そして安全に利用するための注意点について、OpenAIの利用規約や一般的な法的解釈を基に、分かりやすく解説します。
※注意: この記事は一般的な情報提供を目的としており、法的な助言を与えるものではありません。具体的なビジネス利用にあたっては、必ず専門家(弁護士など)にご相談ください。
目次
ChatGPTで生成した画像、ビジネスに使っても大丈夫?
結論から言うと、OpenAIの利用規約上は、ChatGPTで生成した画像を商用利用することは可能です。
OpenAIは、ユーザーがサービスを利用して生成した出力(Output、これには画像も含まれます)の所有権をユーザーに譲渡するとしています。これにより、ユーザーは生成した画像を、販売、商品化、広告利用など、様々な商業目的で利用する権利を得ます。
ただし、これは無条件ではありません。OpenAIの利用規約やコンテンツポリシーを遵守することが大前提となります。また、著作権法など、一般的な法律に関する重要な注意点もあります。
生成画像の権利は誰のもの?OpenAIの利用規約を確認
もう少し詳しく、OpenAIの利用規約(Terms of Use)を見てみましょう。
- 所有権はユーザーに: 利用規約の「3. Content」の項目には、「適用される法律で許可される範囲で、お客様は入力(Input)の所有権を保持し、出力(Output)を所有します。当社は、出力に対する当社のすべての権利、権原、利益(もしあれば)をお客様に譲渡します。」といった趣旨の記載があります。つまり、あなたが生成した画像の権利は、OpenAIからあなたに譲渡されるということです。
- 商用利用の許可: 同じく規約には、「お客様は、本規約を遵守する場合、販売や出版などの商業目的を含むあらゆる目的でコンテンツを使用できます。」といった内容も含まれています。これにより、商用利用が明確に許可されていることがわかります。
- 規約遵守が前提: ただし、これらの権利は、OpenAIの利用規約、使用ポリシー(Usage Policies)、コンテンツポリシーなどを遵守することが条件です。
【参照】 最新の規約は必ずOpenAI公式サイトでご確認ください。
著作権の落とし穴:AI生成画像は「著作物」として保護される?
OpenAIが画像の権利をユーザーに譲渡するとしても、法的な「著作権」の問題は別次元の話になります。
- 著作権法の基本: 日本を含む多くの国の著作権法では、著作物として保護されるためには「思想又は感情を創作的に表現したもの」であり、原則として人間の創作的寄与が必要とされています。
- AI生成物の現状: 現在の一般的な法的解釈では、AIが自律的に生成した画像は、人間の創作性が十分に認められにくいため、著作権による保護の対象外となる可能性が高いとされています。米国著作権局なども、AI生成物に対する著作権登録に慎重な姿勢を示しています。
- これが意味すること: あなたがChatGPTで生成した画像は、あなたが「所有」して「利用」することはできても、他人がその画像を無断でコピーしたり利用したりした場合に、著作権侵害として法的に対抗することが難しい可能性があるということです。つまり、あなたの生成した画像が「パブリックドメイン(公共の財産)」に近い状態になるリスクがあります。
- 例外の可能性: プロンプトの工夫や、生成された画像に対して人間が大幅な修正・加工を加え、そこに創作性が認められる場合は、その部分について著作権が発生する可能性も議論されていますが、まだ明確な基準はありません。
他者の権利を侵害しないために:著作権・商標権のリスク
AI生成画像の利用で最も注意すべきは、意図せず他者の権利を侵害してしまうリスクです。
- 実在の人物・キャラクター・ブランド等の模倣:
- プロンプトに実在の人物名、有名なキャラクター名、企業ロゴ、商品名などを入れて画像を生成すると、その人物の肖像権・パブリシティ権、キャラクターやロゴの著作権・商標権などを侵害する可能性があります。
- ChatGPTは、このようなリスクのある生成を制限しようとしていますが、完全に防げるわけではありません。安易に固有名詞を使うのは避けましょう。
- 特定の画風(「〇〇風」)の模倣:
- 「ジブリ風」「ディズニー風」など、特定のアーティストやスタジオの画風を模倣した画像を生成することも、元の作品の著作権(翻案権など)や、場合によっては不正競争防止法上の問題を引き起こす可能性があります。
- 「〜風」というだけで直ちに違法となるわけではありませんが、類似性が高い場合や、元の作品の評判や顧客吸引力を利用していると見なされる場合には、リスクが高まります。特に商用利用では避けるべきでしょう。
【もっと詳しく】「〇〇風」画像の生成方法と注意点はこちらの記事で解説しています。
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- トレーニングデータ由来のリスク(潜在的):
- AIモデルは膨大なデータを学習して画像生成能力を獲得しますが、その学習データに著作物が含まれている可能性が指摘されています。現状、生成された画像が学習元の著作物と酷似し、権利侵害と判断されるケースは稀ですが、今後の法整備や判例によってはリスクが顕在化する可能性もゼロではありません。
OpenAIのコンテンツポリシーと安全性
OpenAIは、AI技術が悪用されることを防ぐため、厳格なコンテンツポリシーを定めています。以下のようなコンテンツの生成は禁止されており、違反すると警告が表示されたり、アカウントが停止されたりする可能性があります。
- ヘイト・ハラスメント・差別: 特定の集団に対する憎悪や嫌がらせ、差別を助長する内容。
- 違法行為・非倫理的行為: 犯罪や危険行為を助長・推奨する内容。
- 暴力・残虐: 過度に暴力的な描写や残虐な内容。
- 性的コンテンツ: 露骨な性的描写や児童の性的搾取に関連する内容。
- 誤情報・偽情報: 政治的な偽情報や、健康に関する誤解を招く情報など。
- プライバシー侵害: 個人の同意なく私的な情報を描写する内容。
これらのポリシーに違反するようなプロンプトを入力すると、画像生成が拒否されたり、「Content policy violation」といったエラーが表示されたりします。安全な利用のため、常にポリシーを意識することが重要です。
【もっと詳しく】エラーメッセージとその対処法については、こちらの記事で解説しています。
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安全に商用利用するためのチェックリスト
ChatGPTで生成した画像をビジネスで利用する際に、リスクを最小限に抑えるためのチェックリストです。
- [ ] OpenAIの最新規約を確認する: 利用規約やポリシーは変更される可能性があるため、定期的に公式サイトで最新情報を確認しましょう。
- [ ] 他者の権利を侵害しないか確認する:
- 特定の人物、キャラクター、ロゴ、ブランド名、登録商標などを想起させる要素が含まれていないか?
- 既存のアート作品や写真などと酷似していないか?
- 特定の画風の安易な模倣になっていないか?
- [ ] オリジナリティを加える: 可能であれば、生成された画像に独自の編集や加工を加え、創作的寄与を高めることを検討しましょう。
- [ ] コンテンツポリシーを遵守する: 生成する画像の内容が、OpenAIの定める禁止事項に該当しないか確認しましょう。
- [ ] AI生成であることを明記する(推奨): 必須ではありませんが、透明性の観点から、AIによって生成された画像であることを示す表示(例:「Image generated by AI」)を添えることが推奨される場合があります。
- [ ] 重要な利用の場合は専門家に相談する: 特に大規模なキャンペーンや商品化など、ビジネス上の影響が大きい場合は、事前に弁護士などの専門家に相談し、法的なリスクを確認しましょう。
まとめ:規約とリスクを理解し、責任ある利用を
ChatGPTの画像生成機能は、ビジネスにおいても大きな可能性を秘めていますが、その利用には権利や規約に関する正しい理解が不可欠です。
- 商用利用は可能: OpenAIの規約上、生成画像の商用利用は許可されています。
- 著作権保護は期待薄: AI生成画像は、現行法では著作権保護の対象外となる可能性が高いです。
- 権利侵害リスクに注意: 他者の著作権、商標権、肖像権などを侵害しないよう、細心の注意が必要です。特に有名キャラクターやブランド、特定の画風の模倣は避けましょう。
- 規約・ポリシー遵守: OpenAIの利用規約とコンテンツポリシーを守ることが利用の前提です。
これらの点を十分に理解し、リスクを考慮した上で、責任ある利用を心がけましょう。正しく活用すれば、ChatGPTはあなたのビジネスにおけるクリエイティブな活動を力強くサポートしてくれるはずです。