MENU

ChatGPT Plusのセキュリティとプライバシー:データ保護・情報漏洩リスクと対策【法人利用も解説】

ChatGPT 安全対策 データ保護/プライバシー

早川 誠司|生成AI活用コンサルタント/業務効率化アドバイザー

「ChatGPT Plusに仕事の情報を入力しても大丈夫?」

「入力した内容が、AIの学習に使われたりしない?」

「個人情報や機密情報が漏洩するリスクはないの?」

「ビジネスで安全に使うためには、どうすればいい?」

ChatGPT Plusは非常に便利なツールですが、機密性の高い情報や個人的な内容を入力する際には、セキュリティやプライバシーに関する懸念がつきまといます。入力したデータがどのように扱われ、どのようなリスクがあり、どうすれば安全に利用できるのか、正確に理解しておくことが重要です。

この記事では、OpenAIの公式情報に基づき、

  • ChatGPT Plus利用におけるデータの取り扱い(収集・利用・学習への利用)
  • AIのモデル学習から自分のデータをオプトアウト(除外)する方法
  • 利用に伴う主なセキュリティリスクとその対策
  • 特に法人・ビジネスで安全に利用するためのポイント

などを詳しく解説します。この記事を読めب、ChatGPT Plusを安心して活用するための知識と具体的な対策が身につきます。

(アカウント管理全般については、ChatGPTアカウント徹底管理ガイドも参考になります。)

目次

OpenAIはユーザーデータをどのように扱っているか?【公式ポリシー解説】

まず、OpenAIがChatGPT Plus(およびChatGPT全般)の利用において、ユーザーデータをどのように扱っているか、公式のプライバシーポリシーなどに基づいて見ていきましょう。(※規約やポリシーは変更される可能性があるため、常に最新の公式情報を確認することが重要です。)

  • 収集されるデータ:
    • アカウント情報: 氏名、メールアドレス、電話番号、支払い情報など。
    • 利用コンテンツ: 入力したプロンプト、アップロードしたファイル、生成された応答など。
    • 利用ログ情報: IPアドレス、ブラウザの種類、OS、利用日時、クリックした機能など。
  • データの利用目的:
    • サービスの提供、維持、改善(バグ修正、機能開発など)。
    • AIモデルの性能向上(後述)。
    • ユーザーへの連絡(重要なお知らせなど)。
    • 不正利用の防止、セキュリティの維持。
    • 法令遵守、法執行機関への協力。
  • AIモデル改善への利用:
    • 【重要】ChatGPT Plus(個人向けプラン)および無料版: デフォルト設定では、ユーザーが入力したデータ(プロンプトや応答)は、OpenAIのAIモデルの性能向上のために利用される可能性があります。ただし、OpenAIは個人を特定できる情報を削除するよう努めているとしています。
    • ChatGPT Team / Enterprise (法人向けプラン): これらのプランでは、デフォルトでデータがモデル学習に利用されることはありません。ビジネスデータの機密性を重視した設計になっています。
  • データの保持期間:
    • チャット履歴有効の場合: ユーザーが削除しない限り、会話履歴は保持されます。
    • チャット履歴無効の場合 (Temporary Chat): 会話内容はモデル学習に使われず、不正利用監視目的でレビューされた後、通常30日間でシステムから完全に削除されます。
    • アカウント削除やデータ削除リクエストがあった場合も、通常30日以内に削除プロセスが開始されます(バックアップ等からの完全削除には時間がかかる場合があります)。
  • 第三者への提供:
    • OpenAIは、サービスの運営に必要な信頼できる第三者(クラウドプロバイダー、決済代行会社など)と、機密保持契約に基づき最小限の情報を共有する場合があります。
    • 法令に基づく開示命令など、法的な要請に応じて情報を開示する可能性があります。
    • OpenAIは、ユーザーデータを広告目的で販売したり、第三者と共有したりしないと明記しています。

より詳細な情報は、OpenAIの公式サイトにある最新の「Privacy Policy」や「Terms of Use」を直接ご確認ください。

【重要】モデル学習からのオプトアウト(データ利用停止)方法

「自分の入力データをAIの学習に使われたくない」と考える方も多いでしょう。ChatGPT Plus(個人向け)では、以下の方法でモデル学習へのデータ利用を停止(オプトアウト)できます。

方法1:チャット履歴とトレーニングを無効にする (Temporary Chat)

これが最も簡単な方法です。

  1. ChatGPTにログインし、左下の自分のアカウント名をクリック。
  2. 「Settings」を選択。
  3. 「Data Controls」を選択。
  4. Chat history & training」のトグルスイッチをオフにする。
  • メリット: 設定が非常に簡単。オフにすると、そのデバイス/ブラウザでの以降の会話は履歴に残らず、モデル学習にも利用されなくなります(不正利用監視目的での30日間保持を除く)。
  • デメリット: 過去の会話履歴が利用できなくなります。また、この設定はデバイスやブラウザごとに適用されるため、複数の環境で利用する場合はそれぞれ設定が必要です。

方法2:プライバシーリクエストフォームから申請する

会話履歴は残したいけれど、モデル学習への利用は停止したい、という場合は、OpenAIに直接申請する方法があります。

  1. OpenAIが提供するプライバシーリクエストフォーム(OpenAI Privacy Portalや指定されたメールアドレス [email protected] など、最新の公式情報を要確認)を通じて申請します。
  2. 申請が承認されると、それ以降の会話データ(履歴を有効にしている場合でも)がモデル学習に利用されなくなります。
  • メリット: 会話履歴機能を維持したまま、モデル学習へのデータ提供を停止できます。
  • デメリット: 申請の手間がかかること。申請が承認されるまでに時間がかかる場合があること。この設定はUI上では確認できない場合があります。この申請は、申請後のデータにのみ適用され、過去に提供されたデータには影響しません。

※ChatGPT Team/Enterpriseプランでは、デフォルトでデータは学習に利用されないため、これらのオプトアウト操作は不要です。

ChatGPT Plus利用に伴う主なリスクと対策

ChatGPT Plusを安全に利用するために、以下のリスクとその対策を理解しておきましょう。

  • リスク1:機密情報・個人情報の入力による情報漏洩
    • 原因: ユーザー自身が機密性の高い情報(企業の内部情報、顧客リスト、個人を特定できる詳細な情報、パスワードなど)をプロンプトとして入力してしまうこと。AIの応答に意図せず機密情報が含まれてしまう可能性。
    • 対策:
      • 原則として機密情報は入力しない。
      • ✅ 入力する際は、情報を匿名化・一般化する(例:「顧客A社」→「ある取引先」)。
      • ✅ 必要に応じてオプトアウト設定を行う。
      • 社内ガイドラインを定め、入力してはいけない情報のルールを明確にする(法人利用)。
  • リスク2:生成された情報(アウトプット)の不正確性・バイアス
    • 原因: AIは学習データに基づいて応答を生成するため、情報が古かったり、間違っていたり、特定の偏見(バイアス)を含んでいたりすることがあります。
    • 対策:
      • AIの回答を鵜呑みにしない。
      • ✅ 必ずファクトチェックを行う。特に重要な判断に利用する場合は必須。
      • ✅ 複数の情報源で裏付けを取る。
      • ✅ 必要であれば、AIが生成した情報であることを明記する。
  • リスク3:アカウントの不正アクセス・乗っ取り
    • 原因: 推測されやすいパスワードの使用、パスワードの使い回し、フィッシング詐欺による認証情報の窃取、APIキーの漏洩(API利用の場合)。
    • 対策:
      • 複雑でユニークなパスワードを設定し、定期的に変更する。
      • 二要素認証(MFA)を必ず有効にする。 これが最も効果的な対策の一つです。
      • ✅ OpenAIを騙る不審なメールやリンクを開かない。公式サイトからログインする習慣をつける。
      • アカウント情報は絶対に他人と共有しない。 (規約違反でもあります)
      • ✅ APIキーは厳重に管理する。(参考:ChatGPT Plus APIキー完全ガイド
      • もし不正アクセスが疑われる場合は、ChatGPT Plusエラー・トラブルシューティングを参照し、パスワード変更やサポート連絡を検討してください。
  • リスク4:シャドーIT(法人利用における無許可利用)
    • 原因: 従業員が会社の許可なく、個人契約のChatGPT Plusなどに業務情報を入力してしまうこと。情報漏洩やコンプライアンス違反のリスク。
    • 対策:
      • AI利用に関する明確な社内ポリシー(ガイドライン)を策定し、周知徹底する。
      • ✅ 会社として承認されたツール(例:ChatGPT Team/Enterprise)の利用を推奨または義務付ける。
      • ✅ 従業員に対して、AI利用におけるセキュリティリスクと正しい使い方に関する教育・研修を実施する。

法人・ビジネス利用におけるセキュリティ強化策

企業や組織でChatGPT Plus(またはそれ以上のプラン)を安全に活用するためには、個人利用以上に厳格なセキュリティ対策が求められます。

  • ChatGPT Team / Enterpriseプランの導入を検討:
  • 明確な社内ガイドラインの策定と遵守:
    • 入力して良い情報/禁止する情報(個人情報、顧客情報、営業秘密など)の基準を明確にする。
    • 利用目的を業務に関連するものに限定する。
    • 生成された情報の取り扱い(ファクトチェック、社外秘情報の扱いなど)に関するルールを定める。
    • 定期的な研修でガイドラインの理解と遵守を促す。
  • API利用時のセキュリティ統制:
    • APIキーの発行・管理プロセスを厳格化する。
    • アクセス元のIPアドレス制限など、技術的なアクセス制御を実装する。
    • 利用状況を監視し、異常なアクセスがないかチェックする。

まとめ:リスクを理解し、賢く安全にChatGPT Plusを活用しよう

ChatGPT Plusは非常にパワフルで便利なツールですが、その利用にはセキュリティとプライバシーに関するリスクが伴います。

OpenAIはセキュリティ対策やデータ保護に取り組んでいますが、最終的な安全はユーザー自身の意識と対策にかかっています

  1. OpenAIのデータポリシーを理解する。
  2. モデル学習へのデータ利用を望まない場合は、適切にオプトアウト設定を行う。
  3. 機密性の高い情報は入力しない、または匿名化する。
  4. 生成された情報は必ず検証する。
  5. アカウントのパスワード管理と二要素認証(MFA)を徹底する。
  6. 法人利用の場合は、適切なプラン選択と社内ガイドラインの整備が不可欠。

これらの点を常に意識し、責任ある利用を心がけることで、ChatGPT Plusのメリットを安全に享受し、そのポテンシャルを最大限に引き出すことができるでしょう。

早川 誠司(執筆・監修専任)
生成AI活用コンサルタント/業務効率化アドバイザー
大手IT企業でDX推進に従事後、独立。100社以上の中小企業に生成AIソリューションを提供。「すぐ使える業務効率化」をモットーに発信中。
目次